テレワークや時差出勤、フレックスタイムなど働き方は多様化するとともに、通勤での移動も多種多様になりつつあります。電車やバスといった公共交通機関とは異なり、車をシェアして利用するという移動手段も普及し始めました。そこで今回は、カーシェアリングとライドシェアについてお話したいと思います。
カーシェアリングとは
車を会員間で共有(シェア)して利用できるサービスです。利用者はネット上から借りたい車を予約します。当日はカーシェアステーションへ向かい、会員カード等でロックを解錠することで利用でき、利用後は同じステーションへ返却して利用終了となります。
最近では、このカーシェアリングを利用した直行直帰を推奨する企業が広がりを見せています。タイムズカーシェアを運営するタイムズ24が法人会員向けに実施したアンケートでは、働き方改革に取り組んでいる企業・事業所の34%でカーシェアを使った直行直帰を推奨しているそうです。
カーシェアリングを法人利用する企業のうち、無駄な移動時間の削減を目標とする企業の車両管理者の約8割、また営業効率・業務効率の向上および業務時間の削減について考える従業員の約6割がその効果を実感しているそうです。
カーシェアリングの利用はドライバーにとっても無駄な移動時間や身体的負担を軽減し、効率よく業務に取り組めるという声が高く、カーシェアで直行直帰をしたことがある人の98%は満足しているという結果となりました。
総括するとカーシェアを利用した働き方改革は、無駄な移動時間や移動による身体的負担を軽減し、作業効率の向上が見られるという結果となっているようです。
ライドシェアとは
車をシェアするもう一つの手段がライドシェアです。ライドシェアとはいわゆる「相乗り」の事です。ライドシェアにはTNCサービス型とカープール型の2つのスタイルがあります。
TNCサービス型では車の所有者(ドライバー)と利用者(同乗者)をWebサイト上でマッチングさせ、乗車・決済まで行います。世界的にはUberやLyftなどの大手ライドシェアサービスをはじめに広がりを見せています。
カープール型は1台の乗用車に複数人数が同乗するタイプのライドシェアです。登録されたドライバーと利用者のマッチングをアプリやサイトを介して行う点はTNCサービス型と同様ですが、ドライバーの目的地と利用者の目的を一致させ、実費のみ支払いをするシステムです。例えば車で移動する際にガソリン代や高速代を抑えるために友人同士で相乗りをして割り勘する事があるかと思いますが、これを他人同士で行うイメージが近いでしょう。国内ではnotteco等がこのサービスを提供していますが、ライドシェアはカーシェアリングに比べてあまり普及していません。
日本でライドシェアが普及しない理由
世界中に広まっているライドシェアですが、日本では法規制があり普及できない状況があります。日本では道路運送法において、他人の需要に応じて有償で自動車を使用した旅客運送を行うためには、旅客自動車運送事業の認可が必要となります。
さらにお客を乗せて運転するためには、第二種運転免許が必要となります。よって一般人が一般車両を使って第三者を車に乗せて報酬を得る事は「白タク行為」として禁止されており、ライドシェアはこれに該当するのではないかと言われています。
実際に2015年2月にUberが福岡市で始めたライドシェアの検証実験に対しても、国土交通省が白タク行為に当たると判断し、ただちに中止するよう指導した事例があります。さらにカープール型ライドシェアも道路運送法上、仲介手数料が有償になると移動サービスをあっせんしているとみなされるため、サービス仲介手数料は無料に設定されています。現行法のままではサービス事業者の収益の確保が難しく、サービス拡大がしにくい状況です。
最後に
来年には東京オリンピックを控え、外国人観光客の利便性向上のためにライドシェアの規制緩和が模索されていますが、まだ具体的な対策は発表されておらず今後の政府の対応を注視していく必要があります。若者のクルマ離れが叫ばれ、車は所有する時代から利用する時代になりつつある現代、必要な時に必要な時間だけ利用できるカーシェアやライドシェアが暮らしを豊かにするサービスとして普及することを願ってやみません。