社有車を一定台数以上保有する企業は必ず安全運転管理者を選任し、運転者に対して運転日報を記入させる義務があります。運転日報の作成には、記入やファイリングといった事務作業が伴います。安全運転管理者および運転者は日々の業務に追われている中で、日報の作成・管理を行うための時間を確保する必要があります。仕事を滞りなく進め、このような業務を行うには作業効率を少しでも上げたいものです。そこで、今回は運転日報の作成効率を上げる方法をお教えしたいと思います。
運転日報の活用方法については、コラム「運転日報の作成義務と活用方法」をご確認ください。
運転日報のIT化
これまで運転日報というと、用紙に手書きで記入したり、Excelで作成したフォーマットに入力したりするケースが大半でした。しかしファイリング保管の場所が取られる、記入されたデータの集計に時間がかかる等、効率的とは言い難いです。そこで、最近ではWebを使ったシステムやアプリが登場し、運転日報もIT化が進んでいます。
IT化することで情報をリアルタイムに取得できるようになり、取得したデータの集計やグラフ化等も容易になるため、車両管理業務の効率化や生産性の向上が期待できます。取得した運行状況を利用して運転日報も自動で作成されるため、毎日ドライバーが日報を紙へ記入したり、Excel等へ入力したりする必要がなくなります。さらにシステムによっては、運行状況や走行距離等を多角的な視点から自動生成するレポート機能等もあるため、車両管理者様が現在の車両状況をより把握しやすくなります。つまり、IT化された運転日報はドライバーおよび車両管理者双方の業務負担を減らすことができると言えます。
以下に具体的なサービス例を挙げてみたいと思います。
1:テレマティクス
テレマティクスは通信機能、GPS機能、デジタルタコグラフ機能等を備えた専用の車載器を取り付け、車両の運行状況をあらゆる角度から取得するシステムです。車載器が危険挙動を感知するとメールで車両管理者や上司へ通知するといった、インターネット通信を利用しているからこそのリアルタイムな情報提供が最大の特徴です。
しかし導入コストがかかるため、導入のハードルが高いサービスでもあります。大半の場合、初期費用(機材導入費・取付工賃等)と、月額利用料(通信費・システム利用料等)がかかります。おおよそ10,000円~30,000円とも言われているため、管理台数が増えるほどコストはかさんでいきます。
また、位置情報を管理されることもありドライバーからの反発がある可能性もあります。ドライバー側からすると、位置情報をリアルタイムで管理されるのはあまり気持ちのいいものではありません。導入する場合はドライバーの了承を得てからがいいでしょう。ただし、車両の無駄な使用を抑止するといったメリットもある為、会社全体としてどうするべきかといった視点も忘れてはいけません。
2:クラウドサービス、アプリ
最近増えているのがスマホ・タブレットを使用したクラウドシステムやアプリです。テレマティクスでは専用機器の導入や取付等に多額の費用が掛かりますが、クラウドシステムやアプリの場合はスマホやパソコン等の身近な端末で始められ、初期コストを抑えられるのがメリットです。また、挙動確認や運転日報の作成以外にも車検管理や免許証管理、安全運転支援等、多角的に車両管理を支援する機能が多く備わっています。
当社が提供する「くるまぷり」も、iPhone・iPad端末とパソコンで手軽に始められる車両管理アプリです。運転日報作成機能の他に、安全啓発コンテンツの配信、車検・点検管理、車検証データの入力支援等、豊富なコンテンツで管理者・ドライバー双方の車両管理をサポートいたします。 大きな特徴は、車両の管理に加えて人の管理も行えるため、車検証情報や契約情報といった車両管理機能だけでなく、免許証の有効期限管理や危険運転挙動等の運転者の情報管理機能が充実しております。
これにより、コンプライアンス強化や事故削減に向けた安全活動を図ることが可能です。また、実際の走行距離に連動して世界の様々なコースを走破するゲームや安全運転の社内ランキング表示等、ドライバーの方が楽しみながらアプリをお使いいただける機能も搭載しているため、テレマティクスに比べるとコスト面や運用面において車両管理を手軽にできる商品となっております。
くるまぷりを活用した運転日報の作成
今回は、くるまぷりを使用した運転日報の作成方法を一例としてご紹介します。
くるまぷりをインストールしたスマートフォンを持ったドライバーは、まず乗車前の日常点検項目を入力します。こちらは、○か×をタップするだけで入力できる簡単な仕様になっています。
次に、乗車する前に日報の登録を行います。乗車する車のナンバーを選択して、現在の日時と現在地を確認(GPSにより自動取得)してから運転開始ボタンを押すだけで、スマートフォンのGPS機能を使って運行情報が自動的に記録されていきます。最後に、運転を終了する際には走行メーター値を入力し、運転終了ボタンを押すことでその間の運行情報が日報情報として自動登録されます。ドライバー側の操作は、運転開始時と運転終了時のわずか数秒の作業のみですので、さほど手間はかかりません。
管理者はドライバーが入力した情報を管理用Webサイトから閲覧・編集できます。日報の履歴もダウンロードできますので、データ加工や分析にもご活用いただけます。
くるまぷりの優れている点は、スマートフォンで情報を取得するため、レンタカーやカーシェアといった会社で保有しない場合の運転日報も記録することができます。出張先や代車等といった、社有車以外の運転記録もくるまぷりならしっかりと運転者別に記録することができます。
最後に
人手不足が叫ばれる昨今、業務効率化は重要な課題です。ここまでに紹介した方法はいずれも導入に費用が掛かりますが、運転日報のIT化で管理者・ドライバーの工数削減を行うことでその分、本業に集中することもできます。そのため、削減が見込める工数やコストを洗い出し、導入コストと比較検討してみてはいかがでしょうか。