キムラユニティーの車両管理システムKIBACO

マイナ免許証運用開始!今後運転免許はどうなる?

 2025年324日から、マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」の運用が始まり、各地の運転免許センターでは手続きを受け付けています。運用初日にはシステム障害で手続きができない、情報を読み取るアプリに不具合が見つかるなどトラブルも相次いだマイナ免許証ですが、くるまがコラムでは以前改正案の内容を紹介させていただきました。そこで今回は、正式に決定した情報と問題点等をお届けいたします。

 

マイナ免許証の概略

 マイナンバーカードのICチップに運転免許証番号や有効期限、顔写真などの情報を記録し、1枚のカードに集約したものがマイナ免許証です。現在の運転免許証との一体化手続きは運転免許センターや一部の警察署で受け付けており、一体化手続きの前にマイナンバーカードを作っておく必要があります。

 

マイナ免許証の運用開始に伴い、免許証の持ち方は以下の3通りとなりました。

1:持っている運転免許証を返納し、マイナ免許証のみ

2:運転免許証とマイナ免許証の2枚持ち

3:運転免許証のみ

 

また、運転免許証の持ち方によって、手続きにかかる手数料が異なります。

 

マイナ免許証のみ

運転免許証・マイナ免許証の2枚持ち

運転免許証のみ

新規免許取得手数料

1,550円

2,450円

2,350円

免許更新時手数料

2,100円

2,950円

2,850円

更新時講習の形式と更新手数料

対面

優良:500円、一般:800円、違反1,400

オンライン

優良・一般:200円、違反:受講不可

対象外

 

マイナ免許証のメリット

マイナ免許証のメリットは主に4つあります。

 

1:ワンストップサービスで住所・氏名の変更が楽になる

2504_2_1.png マイナ免許証では住所・氏名等の変更はお住まいの自治体へ届出するだけで完了します。住所変更ワンストップサービス手続きをすることで、運転免許センターでの変更手続きの必要がなくなり、従来と比べると手続きも楽になります。ただし、マイナ免許証と運転免許証を2枚持ちしている場合には運転免許証の変更手続きはなくならないため、運転免許センター等での手続きが必要です。

2:更新時講習がオンラインでできる

2504_2_2.png マイナポータルとの連携で、優良運転者・一般運転者の更新時講習がオンラインで24時間いつでもどこでも受講することができます。ただし、視力検査や写真撮影等の更新手続きはオンライン講習後に運転免許センターや警察署等で行う必要があります。

3:住所地以外での更新の迅速化

2504_2_3.png 住所地以外の免許センターで行うことできる免許証の更新手続き(経由地更新)が迅速化され、経由地更新の申請期間が延長されます。

4:手続きにかかる手数料が安い

2504_2_4.png 新規取得、更新いずれの場合も、手数料はマイナ免許証のみの所持が最も安くなります。

 

マイナ免許証の注意点

マイナ免許証を持つうえで、注意したい点を4つご紹介します。

 

1:有効期限に注意

2504_2_5.png マイナ免許証には、マイナンバーカードの有効期限と運転免許証の有効期限が別々に存在します。有効期限が来たらそれぞれ更新手続きが必要ですが、現在のシステムではマイナンバーカードの更新をすると免許証情報が引き継がれず、再び一体化の手続きをやり直す必要があります。

システム改善により2025年秋ごろから免許証情報は自動反映されるようですが、これ以前にマイナ免許証を持って車で役所へ行ってマイナンバーカードの更新をすると、免許証情報が更新されず、帰り道で免許不携帯の状態になる場合があります。警察庁では今年の秋までにマイナンバーカードの期限を迎える人は、マイナンバーカードの更新を行ってからマイナ免許証の取得をするよう呼び掛けています。

 また、マイナ免許証の有効期限はマイナンバーカード券面に表示されず、マイナポータルへのログインや専用の読み取りアプリを利用しないと確認ができません。そのため、免許証の有効期限切れに気付きにくくなります。また、企業等で乗車前に運転免許証の確認を行っている場合には、確認方法を検討する必要があります。

 

2:車が借りられない可能性がある

2504_2_6.png レンタカーやカーシェアなど車を借りるサービスを利用する場合に大きな影響があります。レンタカー会社の一部ではマイナ免許証への対応が間に合わず、従来の免許証が必要になる場合があるようです。スマートフォンに表示させたマイナ免許証の情報が正しいものかをどう確認するか、情報読み取りアプリに不具合が生じた場合の貸出手続きをどう進めるか等を懸念し、マイナ免許証での車の貸出をしばらく見送る企業もあるようです。

 また、カーシェアリングサービスでもマイナ免許証が利用できない場合がありますので、レンタカーやカーシェアリングで車に乗る予定がある場合には、「従来の免許証のみ」または「マイナ免許証と従来の免許証の併用」のどちらかで更新をしておく方が安心です。そして利用中のレンタカーやカーシェア会社がある場合、マイナ免許証への対応状況を確認しておきましょう。

 

3:紛失時に運転できなくなる期間が長くなる

2504_2_7.png マイナ免許証も運転免許証と同様に運転中の携帯義務があるため、紛失した場合には再発行しなくてはなりません。ただし、マイナ免許証の場合、マイナンバーカードの再発行後に運転免許センター等で免許証情報を記録する必要があります。紛失時のマイナンバーカード再発行には約1か月かかるため、一体化したマイナ免許証を紛失した場合には長期間運転できなくなることが想定されます。運転免許センターであれば通常の運転免許証は即日発行できるため、紛失してすぐに運転したい場合には運転免許証の再発行がおすすめです。

 

4:海外では使えない場合がある

2504_2_8.png 日本の運転免許を所持している場合、国際運転免許証を取得することで海外でも運転が可能ですが、現地では国際運転免許証と運転免許証がセットで必要になる場合があります。この場合に券面に運転免許証の情報が表示されていないマイナ免許証は運転免許証として認められない可能性があります。

外務省ホームページでも海外で運転等する場合には従来の運転免許証を持参することを推奨していますので、海外で運転する可能性がある方は従来の免許証を持つようにしてください。

マイナ免許証の運用開始に伴う注意事項-外務省ホームページ

 

最後に

 マイナ免許証のメリットを最大限享受するにはマイナ免許証のみ所持することが望ましいと言えますが、メリットとデメリットをよく理解したうえで免許証の持ち方を考えましょう。また、企業の安全運転管理者の方は、ドライバーの免許証確認・管理方法について検討する必要があります。

スマホが車のキーになるなど、車に関するデジタル化は進化を続けています。2023年に開催された「第4回デジタル社会推進会議」では、マイナンバーカード機能のスマホ搭載とマイナ免許証をスマホに搭載するモバイル運転免許証の実現も計画されています。運転免許証がこれからどう変わっていくのか、動向を見守っていく必要がありそうです。