はじめに
年齢を重ねるにつれて「運転中、人や信号の見落とし、運転動作の間違いが増えた気がする」と感じたりご両親や会社の先輩方などの周囲の方から聞いたりしたことはありませんか?
それは「ハンドルを握るドライバーとしての危険性」が現れているかもしれません。今回は高年齢に伴う運転の危険性についてご紹介したいと思います。
高齢ドライバーによる実態
2024年9月4日午前、広島県福山市のクリニックに軽乗用車が突っ込み、高齢者4人が負傷したという事故が発生しました。警察によりますと軽乗用車を運転していたのは80代の男性で「このクリニックに行くために駐車場に車をとめる際、ギアを入れ間違えてバックするはずが前に進んで突っ込んでしまった」と説明していて、クリニックの待合室にいた人のうち、70代から80代の男女4人が割れたガラスなどでケガをしていて、この4人はいずれも意識はあり、命に別状はないとのことですが、別の病院に救急搬送されました。
他にも2024年10月27日午前、鹿児島市の自動車専用道路「指宿スカイライン」の西陵トンネルで、高齢者が運転する軽トラックが逆走して親子が乗った乗用車と正面衝突し、軽トラックを運転していた鹿児島県枕崎市の82歳の男性と、乗用車に乗っていた8歳と6歳の兄弟、34歳の母親のあわせて4人が病院に搬送されました。警察によりますと全員、搬送時に意識はあったということです。
このように近年、高齢ドライバーによる事故が多発しています。警視庁交通局調べでも2022(令和4)年の高齢ドライバーによる交通事故発生件数は4,579件発生しており、事故全体に占める高齢運転者の事故割合は15.2%となっています。2019(令和元)年の18.1%からは減少していますが、依然として多発している状況です。また、免許保有者10万人当たりの75歳以上高齢ドライバーによる死亡事故件数は5.7件となっており、75歳未満のドライバーによる事故件数2.5件の2倍以上となる高い数値となっています。
それでは、「高齢ドライバー」とは何歳以上の方を指すのでしょうか。警視庁や各都道府県警察などが公表する交通事故の統計データなどでは、65歳以上を「高齢ドライバー」と区分しています。また、運転免許の更新時に高齢者講習の受講が義務付けられている年齢は70歳以上、「もみじマーク」や「四つ葉マーク」と呼ばれる高齢者マーク(高齢運転者標識)の着用が努力義務となっているドライバーの年齢も70歳以上となっています。
しかしながら関節組織、筋力変化、視機能の低下は50代から徐々に現れ始め、特に動体視力の低下が目立つようになります。この動くものを捉える機能は運転技術を左右する非常に重要な要素となっています。このことから50代から特に意識を引き締め、年齢と共に変化する体の機能等も知っておくことが大切です。
出典:60歳以上の運転者に配慮しよう - 人と車の安全な移動をデザインするシンク出版株式会社
体に現れる変化
高齢になると下記のような変化が体に現れます。
①視力の低下により距離感覚が分かりづらくなる
年齢とともに視力は低下し、視野も狭くなり、距離感覚なども分かりにくくなります。以下の項目に心当たりはございませんか?
主な症状 | 日常の例 |
静止視力の低下 | 各種メーターやカーナビの文字が見づらくなってきたと感じる |
夜間視力の低下 | 夜間運転をしていて、前方の車のブレーキランプがぼやけてきた、小さくなってきたと感じる |
動体視力の低下 | 前方を見て運転をしているとき、標識や信号などに気が付かないことが増えてきた 車線変更が難しくなってきたと感じる |
視野が狭くなる | 車・自転車・歩行者が近づいてきたことに気づかず、突然飛び出してきたと感じることが増えてきた |
加齢性などの目の病気 | 白内障・緑内障など、加齢性の目の病気によって視力が低下してきたと感じる |
②認知機能・反射神経の鈍化により突然の動きに対応できない
年齢が上がるにつれて認知機能が低下、判断力・記憶力が衰え、反射機能が鈍化するのも高齢ドライバーが交通事故を引き起こす原因です。判断能力や反射機能が衰えてくると、「ぼんやりとした時間が増える」「瞬時に危険を察知・判断し、ブレーキを踏むなどの適切な運転操作を行うのに時間がかかるようになる」といった症状が増加します。併せて、記憶力が低下してくると「道を間違える」「行き先を忘れてしまう」などの症状が出てくることもあり、オートマチック車でアクセルとブレーキを踏み間違える「自動車の操作ミス」など、自身や周囲の命に関わる事故に繋がることもあります。
③体力の低下により集中力が持続できなくなる
年齢を重ねるごとに体力が低下していくことも、交通事故の原因として挙げられます。体力や筋力の低下と共に疲労を感じやすくなり「ハンドル操作・ペダル操作が遅れてしまう」「アクセル・ブレーキを踏み続けることができない」「サイドブレーキをしっかりとひけず駐車が困難な状態となる」などの異常が現れます。また、体力が低下して集中力が続かなくなるのも事故の原因です。集中力が落ちると、ほか事に気を取られてしまい、交通事故を起こしやすくなってしまいます。
④思い込みや過信による不注意の増加
高齢ドライバー自身はいつも通り安全運転をしているつもりでいても、実際には体力の低下や認知機能、反射神経の鈍化によってかなり危険な運転状態になっているケースはよくあります。「これまで交通事故を起こしたことは無いのでこれからも大丈夫だろう」や「運転歴が長く上手だ」という思い込みや過信、「この道から人は飛び出してこないだろう」などの油断は思わぬ大きな事故につながる場合があります。日頃から注意や慎重な運転操作を心がけましょう。
最後に
運転歴が長くなるほどご自身の運転の癖や注意すべき箇所には気づきにくくなります。日常的に社用車に乗る営業職の方を再雇用(60歳以上など)されるタイミングや、役員車の運転手に配属替えされる機会に今一度、ご自身やベテラン社員の方々のクルマの運転について見直してみてはいかがでしょうか?
弊社キムラユニティーでは【ドライバーズセーフティーサービス】という企業における交通事故の撲滅を人、方法など多角的なアプローチで安全運転管理の強化・改善をサポートするサービスを展開しております。主なサービスの一部として【安全運転教育】を展開しており、その中に「ベテラン運転者研修」をメニューの一つとしてご用意しております。
ご興味のある方は下記連絡先までご連絡下さい。
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