キムラユニティーの車両管理BPO

高速渋滞の理由になる「サグ部」について

 間も無く夏休みを迎え、その後はお盆があり、旅行をする人や実家へ帰省をする人などで毎年この時期には高速道路でも激しい渋滞が発生します。その中でも高速道路で一番渋滞が発生しやすい「サグ部」をご存知でしょうか。本コラムでは「サグ部」と渋滞緩和の為の対策などについてご紹介します。

渋滞発生場所の6割を占めるサグ部とは

 まず、「渋滞」とはどのような状態のことを指すのでしょうか。その定義からご説明いたします。NEXCO東日本・中日本・西日本では、高速道路の渋滞の定義を「時速40km以下で低速走行、あるいは停止発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態」としています。渋滞を分類すると「交通集中渋滞」「工事渋滞」「事故渋滞」と主に3つありますが、今回重点を置いてお伝えするのが交通集中による自然渋滞が発生しやすい地点とされている「サグ部」についてで、2021年にNEXCO東日本が行った調査の結果によると、渋滞発生場所の約63%がこうしたサグ部で発生しています。サグ部とは、下り坂から上り坂へとさしかかるときの凹部分のことで、下り坂から上り坂へと変化するポイントを指します。

サグ部では以下のような流れで渋滞が発生しやすくなります。

①サグ部にて上り坂にさしかかったとき、勾配があると気づいていないドライバーにより自然と速度低下する車が発生
②その後ろにいる車との車間距離が縮まっていき、後続車が車間距離をあけようとブレーキを踏む
③後続の車も次々とブレーキを踏み、ブレーキの連鎖が起きる
④結果、渋滞がどんどん後方に伸びていく

このようにして、サグ部では自然と渋滞が発生していきます。

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サグ部における渋滞緩和の為の対策

 サグ部の対策として、以下の4つの重要なこととしてあげられます。

無意識な速度低下に要注意

24071_1_2.png 無意識に速度低下させてしまうことによって発生した渋滞は、気づかないうちに速度が回復して渋滞を抜けていることがあります。そこで、速度低下を抑制するためと、通過する車の速度を回復させるために、LED表示板により渋滞の先頭位置をドライバーに知らせています。LED表示板に「回復願います」と表示されている時が渋滞緩和のチャンスです。

適切な車間距離を確保

24071_1_3.png サグ部において前にいる車が速度を落とした時、車間距離が近いとブレーキを踏む機会が増えてしまい、自然渋滞は発生しやすくなります。適切な車間距離を保つことで、たとえ前の車が自然と速度低下してもブレーキを踏む機会を抑えられ、渋滞を緩和させることができます。

むやみな車線変更を控える

24071_1_4.png サグ部に差し掛かる前には、なるべく走行車線を走行しましょう。サグ部では速度が低下しがちになるため、希望する速度が速い車は追い越し車線へと集中しやすくなります。すると追い越し車線がだんだんと詰まっていき、渋滞が発生しやすくなるのです。

スムーズに速度回復を行う

24071_1_5.png サグ部における渋滞の主な原因は、ドライバーの無意識のうちの速度低下です。上り坂に差し掛かると気づいたらアクセルを踏んで、減速しないように注意して運転しましょう。スピードメーターを定期的にチェックして、たとえ速度が減速したとしてもスムーズに加速して速度回復に努めれば、渋滞が発生しやすくなります。

 

NEXCO東日本では、渋滞発生地点となっているサグ部において、渋滞ポイント標識の設置を進めており、その標識を見つけた場合は上記のような対策を心掛けてください。また、渋滞発生箇所には、光が進行方向に移動するように点滅させることで、速度低下抑制・速度回復支援に効果を発揮する、ペースメーカーライトが設置されている場所もあります。

最後に

 高速道路における渋滞発生原因で一番多い箇所がこのサグ部であり、ドライバーが気づかぬうちに車が減速してしまうことで渋滞が発生します。サグ部での渋滞をなるべく緩和させるためには、車間距離と速度保持の意識が大切です。緩やかな坂道にさしかかったと気づいたら、意識してスムーズに速度回復運転をするようにしましょう。全ては周りの運転者への配慮が基本です。渋滞を減らすためにも、自分が渋滞の原因とならない運転を心掛けましょう。渋滞に注意して安心・安全なカーライフをお送りください。