最近、車は「所有するもの」から「使用するもの」に変わりつつあります。維持費や燃料代の高騰なども追い風となり、車はレンタカーやカーシェアで「使いたい時に借りる」という選択をする方が増えてきました。しかし、サービスの違いやどちらが合っているのか分からない方もいるのではないでしょうか。そこで今回はレンタカーとカーシェアについて徹底比較します。
高まるカーシェア・レンタカー需要
コロナ禍以降、公共交通機関の利用を避ける目的でカーシェアやレンタカーの利用が増えています。1世帯当たりの「レンタカー・カーシェア料金」の年間支出額は、コロナ禍が始まった2019年には2,627円、2年後の2021年でも1,780円とコロナ禍前よりも利用されていることが分かります。
また、カーシェア車両台数、会員数、ステーション数も右肩上がりに増えており、市場規模は拡大し続けています。
カーシェアとレンタカー、どっちを選ぶべき?
カーシェアとレンタカーの料金体系やサービス内容を比較表にまとめました。
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カーシェア |
レンタカー |
会員登録 |
必要 |
不要 |
初期費用 |
必要 |
不要 |
料金 |
月額基本料金+利用時間+距離料金 (月額基本料金、距離料金がない場合もあり) |
レンタル期間に応じた料金 |
利用時間 |
10分~ |
60分~ |
対面手続き |
なし |
あり |
車種 |
少ない |
豊富 |
給油代金 |
利用料金内 |
利用料金とは別途必要 |
乗り捨て |
原則不可 |
可能な場合が多い |
キャンセル料 |
開始時刻前なら無料 |
数日前から発生 |
補償・保険 |
料金に含む |
オプション選択 |
基本的に24時間以内の利用であれば、レンタカーよりカーシェアの方がお得に利用できる場合が多いです。カーシェアの場合、距離料金が加算されますが(無料の場合もあります)、レンタカーの場合は給油代がかかります。トータルで見た場合、短時間での利用ならカーシェアの方がお得です。
日帰りでの移動も、時間によってはカーシェアが安くなる場合が多いです。ただし、旅行や出張先での利用はレンタカーをお勧めします。カーシェアは会員登録が必要となり、初期費用や月額料金もかかります。そのため1日だけなどのスポット利用であれば、会員登録や初期費用の発生しないレンタカーが良いでしょう。また、カーシェアでは2日以上の車両確保が難しくなるため、長期での利用は難しいです。利用状況に応じ、最適なサービスを選択していきましょう。
<レンタカー利用がおすすめのシーン>
- 1泊2日以上の旅行
- 旅行や出張先での自動車利用
- 1か月車が必要になった場合
<カーシェア利用がおすすめのシーン>
- 月に数回の買い出しで車にたくさん荷物を積んで移動したい
- 2~3時間ほどのドライブや移動
レンタカーのメリット・デメリット
<メリット>
1:車種の選択肢が豊富
レンタカーでは豊富な車種を保有しています。大人数の旅行の際にはミニバン、引っ越しの時にはワンボックスやトラックのように使用するシチュエーションに応じて車を選択できます。
2:会員登録不要で利用できる
カーシェアのように事前の会員登録なしで店舗へ来店することで利用することができます。急に車が必要になってもすぐ利用できるので便利です。
3:安心・清潔な車に乗れる
レンタカーに使われる車両は、乗用車の場合6ヶ月毎の点検を受ける必要があります。一般の自家用車よりも短いスパンでメンテナンスされているので、安心して車に乗ることができます。また利用ごとに車内清掃を実施するので、清潔な状態が保たれています。
4:乗り捨て可能
レンタカーは借りた営業所とは違う営業所で返却する「乗り捨て」が可能です。主要駅や空港には多くのレンタカー会社の営業所があり、公共交通機関と併せて利用して移動効率の向上をはかることができます。
<デメリット>
1:営業時間が限られている
営業所へ来店して車を借りるため、営業時間内に車を返却しなければなりません。24時間営業の営業所もありますがそうでない営業所もあるため注意が必要です。
2:ガソリン満タン返却
ガソリン代は利用料金に含まれないため、基本使った分のガソリンを入れて満タンで返却する必要があります。返却時間間際にガソリンスタンドが見つからず時間を過ぎてしまうというようなことがないように、時間の余裕をもって返却を行う必要があります。
3:手続きに時間がかかる
カーシェアの場合にはWeb上で予約して開始時間に車のロックを解除するだけで利用できますが、レンタカーは対人サービスのため利用手続きの時間がかかります。受付、車両確認を経て出発までに約10~15分、返却後も約5分程度の時間を要します。
カーシェアのメリット・デメリット
<メリット>
1:予約~乗車までの手続きが簡単
カーシェアの予約は、初回の入会手続きさえ完了すればパソコンやスマートフォンから簡単にできます。当日の乗車はICカードもしくは携帯電話でドアを開けるので、対面手続きは一切ありません。
2:短時間利用が可能
カーシェアは10分~15分刻みの短時間利用が可能です。料金も、時間料金100~200円程度、走行距離ごとに発生する距離料金設定がある場合も、1km毎15~20円程度と手頃な価格で車を借りることができます。
3:貸し出し・返却が24時間可能
実店舗を持ち対面受付を行うレンタカーと違い、カーシェアはステーションへ車を返すだけで返却が完了します。その為、予約さえ入れておけば夜中でも車を借りることができます。夜間~早朝までの利用料金がオトクになるナイトパックを設定している会社が多く、上手く利用すればお値打ちに利用できます。
4:ガソリン満タン返却が不要
カーシェアではガソリン代も料金内に含まれているので、ガソリン満タン返却の必要がありません。万が一ガソリンが少なくなった場合は、車内備え付けの給油カードで給油ができます。利用時間中に給油や洗車へ協力した利用者へ料金割引を用意している会社もあります。
<デメリット>
1:会員制
利用には予め会員登録の必要があり、ICカードの発行等で利用するまでに時間がかかる場合があります。さらに月額基本料金がかかるので、全く使用しなかった月でも費用が発生する場合があります。最近では手持ちの交通系ICカードに紐づけてすぐ利用できる場合や、月額基本料金がかからないプランもあるので、サービス内容をよく調べておく必要があります。
2:借りられない場合がある
他の利用者とシェアするため、使いたい時にその車が利用されている場合があります。また予約時間を変更したいと思っても、次の予約が入っている場合には延長できないなど、自分が思っている時間で自由に使えない場合もあります。
3:貸し出し毎の清掃がない
レンタカーとは違い貸出毎に清掃や洗車が行われず、車内の清潔度は会員同士のモラルに任せられます。もし使い方の悪い会員の後に使うことになると、汚い状態の車に乗らなくてはならない場合も考えられます。
4:乗り捨てできない
カーシェアは使い終わった車は、元のステーションへ返す事が前提です。一部乗り捨てサービスを提供している業者はありますが、レンタカーと違い乗り捨ては基本できません。出張先や旅先で利用する場合には注意が必要です。
最後に
政府の提唱する「脱炭素型ライフスタイル」や新たな都市交通の形として、車・自転車・電動キックボードなどのモビリティシェアリングサービスは様々な自治体で広がりつつあります。
企業内の車両管理においても、カーシェアやレンタカーをうまく活用して業務や移動効率アップや車両コスト見直しを進めている企業様も増えています。それぞれのサービスのメリット・デメリットを理解して最適なサービスを選択、活用することで環境に優しく経済的な車の利用をしてみませんか。