はじめに
皆さまのお車にはバックカメラ(後方カメラ)は付いていますか?車をバックさせる際にモニターで後方を映してくれるバックカメラですが、現在では国土交通省が定める道路運送車両の保安基準において、二輪車を除く新型車にはバックカメラの装着が義務付けられています。また、2024年5月以降は継続生産されている現行モデルにも適用され、中古車以外はすべての新車に装着が義務付けられます。
義務化された背景
バックカメラの装着が義務化された背景には、車の後退時に「後方確認不足」のせいで歩行者を巻き込んでしまう事故が多発しているという現状があります。公益財団法人の交通事故総合分析センターによると、平成29年に四輪車が後退している際に発生した事故件数は2万件以上。全死傷事故に占める割合は5%に及び、その中でも特に、後方の死角に入りがちな「子ども」や「高齢者」が犠牲になるケースが多く報告されています。そのため、バックカメラを搭載することで後方の死角を大幅に減らすことができ、事故防止につながると期待されています。また、送迎バスで最も多い事故が後退時に起こっていることなどから、大型車両の事故防止にも効果が期待されています。
バックカメラのメリット
バックカメラはドライバーにとって非常に便利な装備となり、主に下記2つのメリットがあります。
メリット①後方の死角をカバーできる
大型トラックはもちろんですが、ボディーの小さな軽自動車であってもバック時の死角が少なからず存在しています。例えば、車両後部の直近や直下にしゃがんだ幼児が居た場合、角度や高さによって死角に入ってしまいます。そういった目視では視認できない死角部分をバックカメラにより、障害物や人をしっかりと視認できるので、事故を未然に防ぐことができます。
メリット②駐車時のストレスを軽減
バックカメラの映像で後方のスペースを把握できるので、バック駐車が容易になります。駐車が苦手な方や狭い駐車場をよく利用する方にとくにおすすめです。バックカメラのディスプレイには駐車時のガイドラインが表示され、ポールなどの障害物の存在も音で知らせてくれるので、ぶつける心配も少なくなります。
バックカメラの注意点
注意点としてはバックカメラで映る映像と肉眼で見る距離感との違いです。実際に見る距離感とは微妙なズレがあるため、慣れるまでは特に注意が必要です。またバックカメラに映る映像にも取り付け位置によって死角は存在するため、バックカメラを過信しすぎないようにしましょう。バックカメラ搭載の有無に関わらず、目視での安全確認は欠かせません。バックカメラだけを注視するのではなく、必ず目視で周囲の安全確認を怠らないようにしてください。
バックカメラの後付けについて
今回の義務化の対象は新車であり、購入済みの車両や中古車にバックカメラなどを後付けする必要はありません。ただしバックカメラがあれば後退時の事故予防に繋がります。また、義務化されるということは、国も後退時の事故の減少にバックカメラが有効なアイテムと考えているということです。特に運転歴が3年以内の初心者や高齢者では事故が多いため、今のお車にバックカメラが付いていない場合は後付けバックカメラを購入されることをお勧めします。
■後付けバックカメラの選び方
バックカメラを選ぶ際、使用する環境や予算、求める機能などいくつかのポイントで検討することが大切です。今回はバックカメラの選び方について、レンズタイプ、画素数や夜間の視認性、接続方法に焦点を当て、説明します。
ポイント①レンズのタイプ
レンズには、標準レンズと広角レンズの2種類があります。標準レンズに映し出される映像は肉眼に近く、障害物などとの距離感がつかみやすいです。ただし映し出される範囲は狭く、死角が多いのがデメリットです。一方、広角レンズは映し出される範囲は広いためその分死角が少ないですが映像が歪んで見えてしまうため正確な距離感をつかみにくいのがデメリットです。
ポイント②画質
バックカメラの視認性を高めたい場合は、なるべく画素数の高いものをお勧めします。画素数の値が高いほど、高画質な映像が得られます。夜間でもクリアに見たい場合は、目安として30万画素以上のモデルを選ぶのがおすすめです。仮に画素数が少ないモノだと、夜間での映像が不鮮明のため、事故の原因となる可能性もあります。より安全性を重視する方は、100万~200万画素のバックカメラを推奨します。
ポイント③赤外線センサーやLEDライトの有無
夜間の視認性を向上したい方は、赤外線センサーやLEDライトを搭載したバックカメラを選びましょう。センサーやライトを搭載したモデルは映像を明るく表示できるため、夜間でもバック駐車がしやすくなります。しかし赤外線センサーは、周囲の光の影響で見えにくくなることがあるため、明かりのある場所では注意して使いましょう。
ポイント④接続方法
接続方法は有線と無線があり、有線タイプの方が安定した通信状況で映像を確認することができます。無線タイプは取り付けが簡単で自由な場所に取り付けることができるというメリットがある一方、カメラで映した画面を無線で飛ばしているため、電波に何らかの障害があるとうまく画面に映らない場合や多少のタイムラグが発生するというデメリットもあります。
まとめ
バックカメラは後退時の事故を防ぐという安全上の理由から義務化されるほど重要度の高い装備です。また、バック駐車時などの際、後方の視界を十分に確保できる点は運転のストレス軽減にもつながります。「一度使ったら手放せない」という人もいるほど便利で重要な装置ですが、バックカメラを装着しているからといってバック時の事故が完全になくなるというわけではありません。バックカメラを装着していたとしても死角は存在しますし、後退時の安全確認は目視が大前提であるということは充分に意識し、安全で快適なカーライフをお楽しみください。