業務でトラックを使用されている企業様も多いかと思いますがそのトラック、運転手が所持している運転免許証で運転して大丈夫ですか?もしかしたら、知らない間に無免許運転をさせている可能性はありませんか?実際『準中型免許の範囲を知らず、普通免許でトラックを運転した際に無免許運転で検挙されてしまった』という事案が発生しました。今回は想定される無免許運転について、社員と会社が問われる責任、そして無免許運転を防ぐポイントについてお話します。
想定される無免許運転
「無免許運転」というと、運転免許自体を取得していない人が自動車を運転するという犯罪だというイメージが強いかもしれません。しかし、運転免許を持っている人であっても、取得した免許の種別以外の自動車を運転すれば無免許運転となってしまいます。具体的に、無免許運転には以下5種類があり、その多くが免許を取得している方に関係したものになります。
現在の道路交通法では普通免許を受けた者は、「普通自動車、小型特殊自動車及び原動機付自転車」しか運転することができません。よって準中型自動車を運転することはできないため、冒頭の文章で実際にあった事例については4の「免許外無免許運転」にあたります。
社員と会社が問われる責任
では、免許外無免許運転で検挙された場合、一体どの程度の罰則が伴うのでしょうか。酒気帯び運転で検挙された場合の例と併せて下記表をご覧ください。
無免許運転(免許外) | 酒気帯び運転(0.15mg~0.25mg未満) | |
---|---|---|
罰則・罰金 | 3年以下または50万円以下 | 3年以下または50万円以下 |
違反点数 | 25点 | 13点 |
行政処分 | 免許取り消し(欠格2年) | 免許停止(180日) |
上記の表からも見てとれる通り、罰則・罰金こそ同じですが違反点数、行政処分のところで大きく対応が変わります。酒気帯び運転の行政処分は180日の免許停止となりますが、免許外無免許運転で一度検挙されるとなんと【免許取り消し】という重い処分が下ります。酒気帯び運転の方が重罪のように考える方もいらっしゃるかと思いますが実は免許外無免許運転の方が、罪が重いことが表からも分かります。
そして免許外無免許運転で検挙されれば社員は当然、管理者も責任を取る必要があります。実際大手の運送会社で2013年の7月に中型免許を持っていない男性運転手に中型トラックを運転させ、警視庁交通捜査課が運送会社の元支店長と元副支店長と運転手を道路交通法違反容疑で書類送検したことがニュースとなりました。
こういった不祥事が発生し、メディアに出てしまうと企業が被る影響は大きく、最悪企業への評価やイメージダウンにつながり、それを払拭するには多大な労力、コストを費やすこともあります。最近では道路交通法に違反している某D社のロゴ付きの車の動画がSNSであっという間に拡散されたことがありました。それを受け、D社はホームページにて謝罪をし、大きな話題となりました。運転手や管理者の意識の低さや知識不足により企業にとんでもないマイナスイメージがつく可能性があるため道路交通法の違反に対する対応は重大な課題であると言えます。
無免許運転を防ぐポイント
続いて、無免許運転を起こさせないためにすぐにでも取り組むことができる具体策についてお伝えします。
1:トラック車種の表示
まず、すぐに取り組める対策として【車種の見える化】をされることをお勧めします。画像のようなステッカーを運転席から見えやすい箇所に貼ることで、一目で自分の乗っている車の車種が分かります。すぐにステッカーを準備することが難しい場合は印刷したものをテープで貼り付けてもいいでしょう。
2:免許証種類の確認
免許証の種類や条件が変わることもあるため月に一度程度、現物確認されることをお勧めいたします。特に以下項目にご注意いただく必要があります。
3:免許証の管理
「うっかり失効」という言葉をご存じでしょうか?免許証を更新し忘れてしまう方は年間25万人ほどいると言われています。もしうっかり失効してしまった場合、有効期限から6ヶ月以上経過していなければ正式な失効とはなりませんが、もしこの6か月の間にスピード違反や事故などで検挙されると「無免許運転扱い」となりますので要注意です。こういったうっかり失効を防ぐためには管理表を用いて運用されている企業が多いかと思いますがシステムを使って管理をすることも可能です。
弊社のクラウド型車両管理システム「KIBACO」の主な機能の一つとして【免許証有効期限管理】の機能が備えられています。管理者の画面からは免許証が更新されていない運転手を確認し、有効期限切れを未然に防止することができます。また、免許証の有効期限が近くなった際、運転手のスマホに通知が届き、免許証更新をしない限り通知が残るため、有効期限切れを未然に防止できるシステムとなっております。手書きの管理表やエクセルで管理することも可能ですが、一度クラウド型システムを使った管理も検討してみてはいかがでしょうか。
最後に
もし社員が自分の免許証で運転できる範囲を知らず、意図せず無免許運転をしてしまい検挙された場合、その社員の人生が大きく変わる罰則があります。さらに会社も管理責任を問われ、実際書類送検された事例もあります。無免許運転を無くすための取り組みとしてトラックの種類をステッカー等で見える化し、個々の免許証の種類と有効期限等を管理されることをご検討ください。今この瞬間もどこかの企業で免許外無免許が行われているのではないでしょうか。今日取り組めるところから取り組んで無免許運転をなくしましょう。