移動手段としてとても便利な自転車。業務や通勤、プライベートでも利用している方も多いと思います。しかし、2022年10月末から自転車の違反行為に対して警視庁の取り締まりが強化されました。信号無視や一時不停止などこれまで罰則がなかった違反も、今後は「警告」ではなく「赤切符」を交付して検挙されることがあります。今回は取り締まり強化の内容について、また自転車を利用する上で違反検挙から守るための大切なポイントについてお伝えします。
取り締まり強化対象の4つの違反
自転車の交通事故が後を絶たないことを受け、警視庁は悪質な違反に対する取り締まりを強化することになり、メディアでも大きく取り上げられています。事故抑制につなげるため交通切符「赤切符」も積極的に交付されるようになりました。「赤切符」とは交通違反の現場で交付される交通切符のことです。警察に出頭して取り調べを受けた後、道路交通法違反容疑で書類送検され、罰金を科されるケースもあります。例えば信号無視などでは今後「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」に科せられるケースも出てくるとみられます。では今回より取り締まることになった4つの違反項目は具体的にどういったものなのでしょうか。
2022年10月31日より警視庁で取り締まりを強化している違反行為は以下4つです。
1:信号無視
自転車は道路を通行する際は信号機等に従わなければいけません。横断歩道を進行して道路を横断する場合や歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は歩行者用信号機に従わなければいけません。
2:一時不停止
道路標識等により一時停止すべきとされているときは、一時停止しなければいけません。
3:右側通行
道路交通法において自転車は「車両」にあたり、車と同様左側通行が基本ルールであり、右側通行は逆走とみなされます。
4:徐行せずに歩道通行
自転車は車道通行が原則ですが、安全確保のため、やむを得ない場合には徐行での歩道通行が認められています。しかし歩行者の通行の妨げになるときは一時停止する必要があるためいつでも止まれるよう徐行で通行しなければいけません。
事故を回避するには
これら4つの違反行為を守らず運転すると重大な事故につながるおそれがあります。「自転車だから大丈夫だろう」と油断せず、ルール順守の徹底が安全への鍵となります。自転車を利用していると事故には発展しなかったものの「衝突しそうになった」「転倒しそうになった」などといったヒヤッとする体験をした方もいるのではないでしょうか?そうした体験は運良く事故に遭わなかっただけで、一歩間違えれば重大事故につながっていたかもしれません。事故を起こさない・巻き込まれないために、交通ルールの遵守を心がけましょう。警察庁は自転車の安全利用のため以下5つの基本ルールを設けています。
事故防止のポイント
その他、事故防止のための工夫として車や歩行者などへ自分の存在をアピールするために夕暮れ以降は必ずライトを点灯し、目立つ色の服や反射材を着用すると効果的です。そして自転車も車と同じくこまめな点検・整備が大切です。ブレーキの利きが悪い自転車に乗っている場合、いざというときに停止できません。また警視庁によると、過去3年の自転車死亡事故の約8割が頭部に致命傷を受けていることから大人のヘルメット着用も推奨しています。
今回ご紹介した「自動車安全五則」以外にも、安全に運転するために守らなくてはならないことはたくさんあります。例えば、スマホ操作をしたり、傘を差したりすることなどによる片手での運転はNGです。他にも自転車の禁止事項としてイヤホンの使用、夜間の無灯火、二人乗りなどがあります。どの禁止事項も街中でよく見かけますが「これくらいはしても良いだろう」と甘く見ている人は意外と多いのではないでしょうか。その他自転車のルールについて詳しく知りたい方は下記警視庁からのご案内もチェックしてみてください。
最後に
近年、健康志向の高まりや感染症対策として人混みを避けるといった観点から通勤手段を自転車に切り替える人が増加しています。自転車の運転には運転免許証が必要ないため、誰でも手軽に利用できますが、自転車は車と同様「車両」です。ルールやマナーを守らずに走行していると最悪の場合、事故につながるおそれもあります。他人の命はもちろん、自分の命を守るためにも安全運転は欠かせません。
しかし教習所で学ぶと言った機会はなかなか無いため自転車の正しい乗り方の理解は進んでおらずルールの周知が今後の課題となっています。家族や大切な人を違反検挙や事故から守るため、今回紹介した自転車のルールや運転マナーをヒントに今一度安全意識や対策を見直してみてはいかがでしょうか。