運転時間全体に対して車をバックしている時間はあまり長いものではありません。しかし、バック事故は発生頻度の高い事故のひとつとして挙げられています。バック事故はその多くが物損で済むため事故統計には実態が表れにくいですが、事業所の交通事故としては多発事故の一つとなっています。そこで今回はバック事故発生の原因と防止対策についてお話します。
バック事故に関するデータ
バックカメラや衝突防止装置などが普及し、その装着率は年々上昇しています。それに伴いバック事故件数も低減しています。しかし、全死傷事故に占める構成率は年々拡大傾向が続いており、死傷事故内におけるバック事故の割合はむしろ増えていることになります。
出典:イタルダインフォメーションno.128
安全なバックの基本動作
バック運転を安全に行う基本動作をご紹介します。
1:バック速度はゆっくり
バック時の速度は一般的に人が歩く速度(5km/h前後)と言われています。縦列駐車などで他の車が待っているのを見て慌ててバック速度を上げたことで車や人と接触する可能性もあります。どんな時も落ち着いて、ゆっくりと後退するようにしましょう。
2:ペダルの位置を確認する
バックするときは後向きになるため姿勢が不安定になりがちです。そのためアクセルとブレーキを踏み間違えるおそれがあります。ペダルの位置をよく確認しておきましょう。
3:同乗者がいる場合は誘導してもらう
バック時には同乗者がいれば誘導してもらいましょう。ただし誘導してもらう場合も頼り切るのではなく、目視での後方確認とゆっくり後退する基本動作は忘れないでください。また、バックしてくる車と接触する危険を回避するため、誘導する人は車の進行方向から少し外れた位置に立ってもらうようにしましょう。
バック事故防止のポイント
1:側方間隔に注意
駐車場で車と車の間へ駐車する場合に、側方間隔を誤って接触する危険があります。運転席は右側のため、左側の駐車車両との間隔が確認しづらくなります。このままバックすると接触するかもと感じた場合は、一旦バックを中止してやり直す、車から降りて確認するなど慎重な行動をお願いします。
2:歩行者や自転車などに注意
歩道や路側帯を横切る場合はもちろん、そうでなくとも周囲の歩行者や自転車には十分注意しましょう。バック時の視線は後方に集中しがちになるため、歩行者を見落としたり気付くのが遅れる場合があります。歩道などを横切る場合はその直前で一時停止が義務付けられているので、必ず一時停止して歩行者などが通行していないか確認する必要があります。
3:モニターやセンサーに頼り切らない
バックモニターはバック時の安全確保に有効な装置ですが、それだけに頼ってバックをするのは危険です。また、全方位モニターを搭載していても、モニター越しの確認では距離感がつかみにくい場合もあります。運転支援装置が装着されていても、安全確認は目視で行うことが基本であることを忘れないようにしましょう。
最後に
なるべくバックしないで済むようにすれば、バック事故は防げるかもしれません。しかし車を運転しているとバック操作を完全に避けることは難しいです。最近はバックモニターや衝突防止センサー付きの車が当たり前になり、バック運転がしやすくなりました。これらの手助けを借りつつ、基本に立ち返ったバック運転で事故を防止しましょう。