飲酒後の運転は何時間後ならできる?

 昔からアルコールは百薬の長と言われ、ストレス解消やコミュニケーションツールの一つとしても欠かせないものです。しかし、飲酒は人体に様々な影響を及ぼすため、飲酒運転は法律で固く禁じられています。飲むなら乗らないが当たり前ですが、一体飲酒後どれぐらいの時間でアルコールは分解されるのでしょうか。そこで今回は、アルコール分解のメカニズムと分解にかかる時間についてお話したいと思います。

お酒に「酔う」ってどういうこと?

2205_2_1.jpg 人がアルコールを飲むと、血液に溶け込んだアルコールが脳に運ばれ脳を麻痺させます。これが「酔う」という状態です。もちろん個人差がありますが、30分~1時間程度で身体に影響が表れ始めます。酔いの程度は脳内のアルコール濃度によって決まりますが、実際にはかることは不可能です。そのため、血中アルコール濃度によって酔いの程度を判定しています

酔いの程度を分かりやすくまとめてみました。日頃の飲酒量と照らし合わせつつご覧ください。

血中アルコール濃度(%)酒量状態
爽快期 0.02~0.04 ビール中びん(~1本)
日本酒(~1合)
ウイスキー・シングル(~2杯)
爽やかな気分になる
皮膚が赤くなる
陽気になる
判断力が少し鈍る
ほろ酔い期 0.05~0.10 ビール中びん(1~2本)
日本酒(1~2合)
ウイスキー・シングル(3杯)
ほろ酔い気分になる
手の動きが活発になる
抑制がとれる(理性が失われる)
体温が上がる
脈が速くなる
酩酊初期 0.11~0.15 ビール中びん(3本)
日本酒(3合)
ウイスキー・ダブル(3杯)
気が大きくなる
大声でがなり立てる
怒りっぽくなる
立てばふらつく
酩酊期 0.16~0.30 ビール中びん(4~6本)
日本酒(4~6合)
ウイスキー・ダブル(5杯)
千鳥足になる
何度も同じことをしゃべる
呼吸が早くなる
吐き気・嘔吐が起こる
泥酔期 0.31~0.40 ビール中びん(7~10本)
日本酒(7合~1升)
ウイスキー・ボトル(1本)
まともに立てない
意識がはっきりしない
言語がめちゃめちゃになる
昏睡期 0.41~0.50 ビール中びん(10本以上)
日本酒(1升以上)
ウイスキー・ボトル(1本以上)
揺り動かしても起きない
大小便は垂れ流しになる
呼吸はゆっくりと深い
死亡

アルコール分解の仕組み

一般的に「酔いからさめる」というのは身体がアルコールを分解し、体内からアルコールがなくなることを指します。アルコールを摂取後、5つのステップをたどって処理されます

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 なお、この流れは一度で完了するわけではありません。分解しきれなかった血中アルコールやアセトアルデヒドは心臓を経由して、全身を巡って再び肝臓へ戻って分解されます。これを繰り返していくことで、体内からアルコールが分解され、酔いからさめるのです。
 ちなみにアセトアルデヒドは毒性のある物質で、お酒を飲んだ時に顔が赤くなったり、動悸や吐き気、頭痛を起こす原因になります。大量に飲酒して悪酔いや二日酔いが起こるのは、アセトアルデヒドが長時間体内にとどまっているからです。

アルコール分解にかかる時間

それでは、アルコールが分解されてアルコールが抜けるまでにはどれぐらい時間がかかるのでしょうか。

アルコールを分解する時間は、体重や体質、その日の体調などの個人差や飲んだ量・アルコール度数などによって変わるため、一概に言えません。ですが、おおよその量を知ることのできる計算式があります。

つまり体重が70kgの人ならば、1時間で分解できるアルコール量は7gとなります。体重が重い人はその分血液量が多いため、血中アルコール濃度は低くなるということになります。

また、アルコールの分解・消化にかかる時間は次の計算式で算出できます。

飲酒するアルコールの度数と量、その人の体重でアルコールの抜ける時間を計算すると、仮に体重60kgの人が純アルコール量12gのワインを1杯摂取した場合は以下の通り、2時間となります。
12g(純アルコール量) /6g(1時間で分解・消化できるアルコール量)=2時間

代表的なアルコールの種類とアルコール度数、純アルコール量は、以下の表を参考にしてください。

アルコールの種類アルコール度数純アルコール量
日本酒1合(180ml) 15% 22g
焼酎1合(180ml) 35% 50g
ワイン1杯(120ml) 12% 12g
ビール中びん(500ml) 5% 20g
ウイスキーダブル(60ml) 40% 20g

最後に

 2022年4月から白ナンバー車もアルコールチェックが義務化されました。現在は運転前後の運転者の目視チェックとこのチェックの記録保管(1年間)のみですが、10月からはアルコール検知器の導入が追加で義務付けられます。そして乗務前のアルコールチェックで規定量以上のアルコールを検知した場合は当然乗務することができないため、ドライバーの方はお酒の飲み方に注意する必要があります
2205_2_3.jpg 翌日に運転業務がある場合はアルコールの摂取を控えるまたは少なくするなど、ドライバー自身の心掛けも重要になります。お酒は呑まれるような無理な飲み方はせず、ほどほどに楽しむようにしましょう。 また、白ナンバー車アルコールチェック義務化についてはコラム「白ナンバー車アルコールチェック義務化に向け準備すべき事」をご覧ください。