梅雨に起こりがちな車のトラブル

 九州南部で5月11日に平年より19日早く梅雨入りしたのを皮切りに今年は全国各地で記録的に早い梅雨入りになっています。湿気が高くジメジメした梅雨は、車にとってもコンディション維持が難しい時期とされています。
 そこで今回は梅雨に起こりがちな車のトラブルと、その対処法についてお話したいと思います。

梅雨に起こりやすいトラブル

 梅雨時のドライバーを一番悩ませるのは「視界の低下」と「路面が滑りやすい」ことだと思いますが、その他にも主に起こりやすいトラブルを含め4つ挙げてみます。

1:視界の低下

2105_1_1.jpg 雨の日に「走行中、急にフロントガラスが曇って焦った」「ワイパーの拭きムラが気になり運転に集中できない」「夜の運転時に油膜で窓ガラスが光って視界が悪い」という経験はありませんか?車を運転している時に得られる情報の約90%が視覚情報だとも言われています。安全運転をするためには、視界の確保は重要です。

2:路面が滑りやすい

 滑りやすい雨の日の路面はブレーキを掛けると、乾いた日に比べて制動距離が長くなります。時速40kmで走行時、晴れの日の制動距離は約9kmですが雨の日は約13kmになり、止まりにくくなります。さらにタイヤと路面の間に水が入り込んでタイヤが浮いた状態になる「ハイドロプレーニング現象」が起こる可能性があります。これはハンドルやブレーキコントロールができなくなり、大事故に繋がる現象です。

3:ボディの汚れ

2105_1_2.jpg 長く雨が降り続く梅雨は洗車する機会が取りづらいものです。しかし、「どうせ濡れるから」と放置していると、雨ジミという写真のような白いうろこのようなシミができてしまいます。これは水滴が残りやすいルーフやボンネットなどに発生しやすいようです。また、ボディに付着した油やスス、粉じんなどが濡れた後に乾燥してできる水アカもあります。
 雨ジミや水アカを放置するとボディに固着して、取れにくくなります。さらにこのシミが凸凹となり新しい水分が付着するとレンズのような役割を果たし、ボディ表面を傷める原因にもなります

4:嫌なニオイ・カビ

2105_1_3.jpg 湿った空気が車内に充満すると、嫌な臭いが発生する場合があります。シートやカーペットが生乾きの状態だと、様々な汚れと水分が結合して悪臭が発生します。また、車内の除湿にエアコンを付けた時に悪臭を感じやすいのもこの時期です。

梅雨時に行いたい車のメンテナンス

 ここまで挙げたトラブルは、事前のお手入れで防ぐことができます。そこで代表的なメンテナンス方法をお教えしたいと思います。

視界低下対策

1:ワイパーゴムの交換

2105_1_4.jpg 視界確保に欠かせないワイパー。ワイパーの拭き取りが上手くできず拭きムラが出てくると、前方の安全確認にも支障が出てきます。ワイパーゴムはの交換目安は1年です。定期的に交換をするようにしましょう。
 ワイパーゴムだけでなく、ブレードもガタが来ていないか一緒にチェックしましょう。ブレードの劣化も拭き取り力低下の原因になります。簡単に交換することができますが、自信の無い方はカーショップや整備工場などに依頼しましょう。

2:窓ガラスのお手入れ

2105_1_5.jpg フロントガラスに油膜が付いていると全体に雨が広がって、視界を妨げます。特に夜の運転はライトが反射するため前が見づらくなり、事故を起こす原因にも繋がります。油膜とは油分を含んだ雨や道路の水、排気ガス、劣化したコーティング剤などがガラスに付着してできる油の膜です。油膜クリーナーなどを使ってまずは油膜を除去しましょう
 ガラスの撥水コーティング剤を使うのは、油膜を除去してからがオススメです。この工程を加えるだけで、コーティングが長持ちしたり、普通に施工するよりも水弾きが良くなります。

 また、湿度の高い梅雨時期は空気がため込める限界を超える水蒸気が水滴となる「結露」が発生しやすくなり、前方の視界が悪くなりがちです。窓が曇りやすいのは窓の内側が汚れているケースが多いです。洗剤を薄めた水に浸して固く絞ったクロスで拭き上げるだけでも曇りにくくなります。

3:サイドミラーのお手入れ

 サイドミラーもフロントガラスと同様にコーティング剤を塗っておくと、車線変更の際に視界を確保することができます。ミラー専用コーティング剤には撥水(水をはじく)と親水(水を流す)タイプがありますので、好みの仕上がりに応じて選んでください。

濡れた路面対策

タイヤ状態の確認

タイヤチェック 濡れた路面を走行する際はタイヤの状態には充分注意しましょう。タイヤに十分な溝がない状態で走行すると、溝から雨水が排水されずブレーキ性能の低下を招きます。摩耗が進んでいるようであれば、早めのタイヤ交換を意識しましょう。また、ウェット・グリップ性能を強化した雨の日に強いタイヤも販売されています。交換のタイミングで是非検討してみてください。

ボディの汚れ対策

ボディコーティング

2105_1_6.jpg 雨ジミ対策としては洗車後にコーティング保護するのが良いでしょう。その場合ワックスを使うと雨で流れだして油膜の原因になりますので注意が必要です。最近ではスプレーして拭くだけでコーティングできるコーティング剤も販売しています。仕上がりが撥水か親水かなど特性がありますので、好みのものを探してみましょう。

車内の臭い・カビ対策

1:車内消臭ケア

 車内用の消臭スプレーや芳香剤ではその場しのぎにはなりますが、根本解決にはなりません。おすすめは重曹を使用した車内クリーニングです。重曹には臭いや湿気を吸収する性質があります。臭いが気になるシートやフロアマットにまんべんなく振り掛けて半日ほど放置し、放置後に掃除機などで吸い取ればにおいを抑えることができます。
 臭いが酷い・自力で取れない場合は、プロによる車内クリーニング作業も検討するといいでしょう。

2:エアコンのケア

2008_1_1.jpg 湿気対策にエアコンを付けたら悪臭が...という経験はありませんか?梅雨が明けると夏本番、エアコンが本格的に活躍します。快適にエアコンを使うためにも、夏前の今からエアコンフィルター交換を行いましょう。目安として1年または走行1万kmと言われています。
 エアコンフィルターを交換して解消されない場合は、フィルターより奥にあるエバポレーターというエアコンの温度調節をする部品に付いたカビが原因かもしれません。エアコンフィルターと違って取り外しができない場所ですが、専用のクリーナーを使って洗浄することができます
 車の内部に触れることに抵抗がある方は、ディーラーや整備工場などに任せてしまいましょう。

最後に

 ここまで梅雨時に起こりやすいトラブルと対処法をお話しましたが、対策は早めに行い、快適に運転できるようにしてください。また、梅雨時期の運転はより慎重に行ってください。いつもよりスピードを落とす、車間距離を充分に取る、暗いと感じたら早めにヘッドライトを付けるといった運転行動にも注意し、安全運転に努めましょう