クルマは私たちの生活になくてはならないものですが、その一方で国内だけでも年間で約62万人もの死傷者を出す交通事故が大きな社会問題となっています。このため自動車メーカーは、速度や燃費といった性能を追求するだけでなく、安全性の向上にも取り組んできました。
今回はそれらを踏まえて、最新のクルマの安全技術についてお話したいと思います。
クルマの安全技術
これまでのクルマの安全技術は、シートベルトやエアバッグ、衝突時のショックを吸収するボディなど、事故後の被害を軽減するものが中心でした。ですが、近年では事故の発生そのものを未然に防ぐ「予防安全」に重点を置いています。こうしたなか、消費者の間でもクルマ選びの基準として「環境」に加えて、「安全」に対するニーズが非常に高まってきており、各自動車メーカーが凌ぎを削っています。
一般的にクルマの安全対策は大きく2つに分けられます。1つは「パッシブセーフティ(衝突安全)」で、2つ目が「アクティブセーフティ(予防安全)」です。
パッシブセーフティ
衝突事故が起きた際に、乗員や歩行者の傷害を最小限にする技術です。 万一事故が発生した場合に、乗員の被害を最小限に抑えるという考え方のもとに開発された技術で、代表的なものが「シートベルト」や「エアバッグ」です。 近年、交通事故死者数が減少傾向にありますが、これは「パッシブセーフティ(衝突安全)」技術の向上と、そうしたクルマの普及によるものが大きく寄与していると考えられています。 | SRSエアバッグ |
主な装備 |
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3点式シートベルト、SRSエアバッグ、衝突安全ボディ、歩行者傷害軽減ボディ、アクティブヘッドレスト など |
アクティブセーフティ
衝突事故などを未然に防ごうとする技術です。 最近の車は、この予防安全技術に力を入れており、夜間ヘッドライトの届かない所に存在する歩行者などをモニターに映し出す「夜間暗視システム」や障害物に追突しそうになると自動的にブレーキをかける「自動ブレーキ機能」などが開発されています。具体的には、走行するクルマの前方を監視して、衝突が避けられないと判断したときにブレーキを働かせたり、シートベルトのゆるみを巻き上げたりして衝突に備えたりするものです。 |
主な装備(自動車メーカーごとに呼び名が異なる場合があります) |
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ABS(アンチロックド・ブレーキングシステム)、トラクションコントロール、横滑り防止装置、レーンキーピングアシスト、AFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)、プリクラッシュセーフティシステム など |
メーカー別「自動ブレーキ」搭載車両一覧
2014年9月現在、自動ブレーキが搭載されている車両はこちらです。
メーカー | 名称 | 車種 |
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トヨタ | プリクラッシュセーフティシステム | アルファード、ヴェルファイア、エスティマ、クラウン、SAI、ハリアー、プリウス、マークX、ランドクルーザー |
日産 | インテリジェントブレーキアシスト | フーガ、シーマ、スカイライン、エルグランド |
エマージェンシーブレーキ | ノート、セレナ、エクストレイル | |
ホンダ | 追突軽減ブレーキ(CMBS) | アコード |
シティブレーキアクティブシステム | フィット、ヴェゼル | |
三菱 | e-Assist(イーアシスト) | アウトランダー |
FCM-City | デリカD:2 | |
スバル | アイサイトVer3 | レヴォーグ、WRX S4 |
アイサイトVer2 | 軽自動車除く全て | |
マツダ | i-ACTIVSENSE | アクセラ、CX5、アテンザ |
ダイハツ | スマートアシスト | ムーヴ、ミライース、タント |
スズキ | レーダーブレーキサポート | ワゴンR、スペーシア、ハスラー、ソリオ |
安全装備の今後と問題点
今後、クルマの安全技術は自動ブレーキに使われる各種センサー技術を更に進化させ、2020年という近い将来、自動運転が可能になると言われています。 但し、そこには1つ大きな課題があります。それは制度や法の整備です。万が一の事故時の責任を"運転者"とクルマのどちらが負うのか、手離し運転を認めるかどうか。これらが、技術の進化よりも大きな難関になるのは間違いないでしょう。
ただ、どんなクルマができたとしても、最後はそのクルマを運転するのは"人"です。日頃から自らの運転に責任を持ち、安全運転を心掛けることが、事故撲滅への近道ではないでしょうか。