車両管理規程の必要性

 早速ではありますが、車両管理規程の見直しはされていますか。また現在の情勢に見合った内容で定められているでしょうか。社用車の管理をするためだけではなく、交通事故対策といった面でも車両管理規程は必要となります。また年々、道路交通法の改定により罰則が厳しくなっているため、情勢に合致した内容へ見直すことも忘れてはいけません。
今回は「車両管理規程」についてご紹介し、皆様の手助けができればと思っております。

車両管理規定とは

 車両管理規程とは、業務上で車を使用する社員が以下二つの法律を根拠に企業が運用上定めるルールのことを言います。

1.民法第715条「使用者等の責任」

 必要事項を網羅した車両管理規程を定め、日頃から従業員への注意喚起や遵守・徹底を教育していたと認められれば、賠償責任が使用者に及ばない可能性があるのです。

2.道路交通法第74条の3「安全運転管理者の選任」

 従業員や所有車両が増えてくると規程を周知・徹底させることが困難になります。そこで定員11名以上の車両は1台、その他の車両の場合は5台以上車両を有する事業所に対して、道路交通法では代務者となる安全運転管理者を選定し、公安委員会に届け出するよう定めているのです。

 車両管理規定を定めることで、道路交通法の順守に加えて、万が一の際に賠償責任から会社を守れる可能性が高まります

押さえておきたい規程の項目

 車両管理規程の作成にあたり、押さえておきたい下記の項目を盛り込むと良いでしょう。

1.管理責任者

2009_2_1.jpg 統括管理部署の選定。実際に運行するのは使用部署ですが、それぞれの部署に任せきりにするのではなく、統括管理部署は必要となります。

2.安全運転管理者

2009_2_2.jpg 定められている道路交通法により、普通乗用車5台以上になると安全運転管理者をおかなければなりません。管理者の選任した場合、15日以内に公安委員会へ届け出が必要です。

3.車両台帳・運転者台帳

2009_2_3.jpg 車両管理規程の運用を確かなものとして、交通事故発生時に的確な処理ができるようこれらの資料を作成する必要があります。特に交通事故の際、管理責任を果たしていると主張するためにも重要となります。

4.車両保険

車両の保険に関する項目 会社が使用者責任により損害賠償責任を負った場合には、強制保険である自賠責だけでは足りないことが多い為、任意保険にも加入すべきかどうかを充分検討する必要があります。

5.運転者のモラル

2009_2_4.jpg 道路交通法の罰則が厳しくなる中、飲酒運転や運転中の携帯電話の禁止、車両の道路放置禁止など運転者が守らなければならないモラル事項をしっかりと定める必要があります

6.私有車借り上げ

2009_2_5.jpg 私有車を業務や通勤で使用しているときに交通事故を起こし、加害者となった場合、社有車を使用したときと同様な管理責任、損害賠償責任を負うことがあります。私有車の業務使用については、許可基準を明確にし、統括管理部署への届出を義務づけておく必要があります

車両管理規定の必要性

2009_2_6.jpg どれほど安全運転の重要性について呼び掛けたとしても、ふとした時に事故は起こってしまうものです。そこで万が一重大事故が発生しまうと、莫大な賠償金の支払いだけでなく、社会的な信用を失うという企業にとって非常に大きな損失を被ることになります。そうした事態を少しでも避けるためにも事業規模に関わらず、「社員を守る」「会社を守る」といった面で車両管理規程は必要になるかと思われます。
 社員が業務上車を使用する場合は、車両管理規程を定めて適切に管理運用を行うことが必要です。車両管理規程を適切に運用することで会社としての責任も明確になるため、損害賠償が軽減される可能性も高まります。会社の運用実態に照らし合わせて、社用車以外のレンタカーやマイカー、自転車についても、ポイントを押さえて車両管理規程を定めるようにしてください。

最後に

 ここまで車両管理規定についてお話してまいりましたが、「自社内だけで見直すのは大変だ」と思われた方は、弊社の「カーマネジメントサービス(CMS)」にご相談いただいてはいかがでしょうか。
 CMSのサービスメニューには、コンプライアンスの視点で問題点の抽出、改善を行うコンサルティング業務や車両、顧客、契約情報などの管理など、多種多様なサービスがあります。これまでの経験から車両管理規定の見直しも含め、お客様へのヒヤリングに基づいた最適なご提案ができますので、まずは自社で見直しをしてみて、もし困った場合は弊社を含め専門家に相談されてみてはいかがでしょうか