暴風、大雨、洪水など、多くの被害をもたらす台風ですが、9月は多く上陸・接近する季節。近年は強い勢力を保ったまま接近することが多いため、十分な注意が必要です。ところで台風接近中、車を守るためにはどのような点に注意する必要があるでしょうか。そこで今回は、台風接近時に車を守る方法をお教えしたいと思います。
台風で車が受ける被害
台風による被害は、大雨か強風が原因になることが大半です。まずはこれらによって車がどんな被害に遭うかを考えてみましょう。
大雨によるトラブル
エンジン故障
道路が冠水し、吸気ダクトやマフラーからエンジン部分に水が入ると、エンジンが止まり故障に至る可能性があります。このような状態で走行を続けようとするとエンジン自体に負担がかかり、エンジンの故障に繋がる場合もあります。
泥水や海水による車内環境の悪化
水が車内まで入り込んだ場合、フロアマットやシートに泥水や海水が染み込み、カビや雑菌が繁殖する可能性があります。シートなどを交換しても臭いが残る場合もあり、中古車として販売することも難しく、廃車になるケースも少なくありません。
電気系統のショート
車が水没すると、電気系統の機能がストップしたりショートしたりする危険性があります。特に海水は電気を通しやすい性質を持つため、ショートする可能性が高くなります。
電気系統の機能が停止すると、エンジンが掛からない、エアコンが使えない等、車全般の機能が作動しなくなります。また、パワーウィンドウも動かなくなるため、水の圧力でドアが開けられず、車内に閉じ込められることも考えられます。
強風によるトラブル
飛来物による損傷
枝や看板が強風で吹き飛ばされ、車にぶつかることで損傷を受ける場合があります。損傷の程度は飛来物の大きさや重さ、風速によって異なります。気象庁の「風の強さと吹き方」によると、平均風速が20m/s以上で看板や屋根瓦が飛ぶ、35m/sで樹木や電柱街灯が倒れるとされています。台風の接近時はこのような事が起こりうる前提で警戒しましょう。
走行中・停車中の横転
台風の風力は20m/s以上にもなり、車を横転させるほどの力を持っています。気象庁によると瞬間風速が40m/s以上になると、走行中のトラックが横転するレベルとされています。特にビルの谷間、橋の上、海岸沿いは風の影響を受けやすくなるので注意が必要です。
降車時のドア損壊
乗降するためにドアを開ける際、強風によってドアが勢いよく開くことで、開閉に必要なパーツが損壊する場合があります。また、身体が風に持っていかれてドライバー自身がケガをする可能性もあります。台風接近時は車に乗らないのが一番ですが、やむを得ない状況等で乗車する場合はドア開けには十分注意しましょう。
事前の備えで車を守ろう
台風は地震とは異なり、進路予測などで事前に被害を推測することができる災害です。台風の進路をこまめに確認して、接近が予想される場合は早めの対策を実施しましょう。
1:ハザードマップを確認する
ハザードマップとは大雨による浸水や、土砂災害などの自然災害の被害予測をし、地図上に反映させたものです。ハザードマップを確認することで災害の危険性が高い地域を把握できるので、自宅や駐車場の災害リスクが高い場所だった場合に事前に安全な場所へ移動させることができます。
ハザードマップは国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認できます。一般的に海岸や河川の近くは浸水の、山間部や扇状地、急斜面は土砂災害のリスクが高まります。これらの位置に駐車している場合は、事前に車を移動させることを検討しましょう。
2:飛来物に備える
強風によって看板・標識、植木鉢、木の枝が飛ばされて、不運にも車にぶつかって損傷を受ける可能性があります。車の周囲に風で飛ばされそうなものはないか、倒れてきそうな樹木などがないかを確かめましょう。植木鉢のような小さなものでも強風で飛ばされると大きな被害をもたらします。
3:垂直避難をする
浸水や土砂災害などの被害を避けるため、車を高台や立体駐車場などへ移動させる「垂直避難」を行いましょう。安全な高台や立体駐車場を予め探しておくことで、いざという時にすぐ移動を開始できます。最近ではショッピングモールやパチンコ店など立体駐車場のある施設が災害時に近隣住民のために駐車場を開放するという店舗も出てきていますので、積極的に利用するようにしましょう。
万が一の為に保険を見直そう
車を安全な場所へ避難させるなどの対策を講じたとしても、残念ながら被害を受ける場合も考えられます。そんな場合も考慮して、車両保険の加入をしておくと良いでしょう。台風による被害で修理費用が発生した場合、自己負担額を減らすことが可能です。基本的には基本の補償には含まれておらず、別途加入するものです。
車両保険は一般型と限定型があり、それぞれ保証を受けられる範囲が被害を受けた事故の内容によって異なります。例えば当て逃げなど相手が特定できない車に接触されて損傷を受けた場合、一般型は保証されますが、限定型では保証されないという場合があります。ただし、台風や火災、洪水などが原因の場合は、どちらでも保証されることが多いようです。
なお火災保険は車を保証の対象にしていないため、補償を受ける事はできません。補償対象は家屋と家財で、家財に車は含まれません。
最後に
台風から車を守るには、事前の情報収集と早めの対策が大切です。「台風被害がなかったら無駄になる」と思わず、「来なかったらそれでよかった」という気持ちで、台風が接近したら早め早めに対策を打つようにしましょう。有事の時だからこそ落ち着いて、大切な家族や車を守るための行動をお願いいたします。