1月に入り日本各地では気温がますます下がり、降雪が気になる季節となりました。冬季にお車を運転される際、みなさんはスタッドレスタイヤを装着して走行されていますか。雪道や路面の凍結が見込まれる道路では、チェーンを装着して走行されていますか。2018年12月、国土交通省にて「チェーン規制」の改正がありました。そこで今回は、「大雪時のチェーン装着の義務化」についてご紹介します。
法改正の背景について
2018年初め、日本各地で発生した大雪および豪雪により、通行止めや交通事故などが相次いで発生しました。この豪雪の影響により、福井県北部の国道8号線では大型車の脱輪をきっかけに渋滞が発生しました。その際、激しく降る大雪により車両に雪が降り積もり、自走ができなくなった車両が数多く発生したため、2月6日から9日未明までおよそ10㎞の区間で約1500台の車両が立ち往生する事態にまで陥りました。
これを機に、国土交通省で開催された「第4回冬期道路交通確保対策検討委員会」にて、大雪の際の道路交通の確保のためにチェーン規制を実施すべきであるという提言が示されたことを受けて、今回の改正に結びついたそうです。
新しく導入された「チェーン規制」とは
チェーン義務化の規制は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような「異例の降雪時」のみ発令されます。これは立ち往生による大規模な車両滞留を抑制し、集中的に除雪を行うことで実質的に通行止めの時間を短くすることを目的としています。その対象区間は、過去に立ち往生が発生した場所や急な坂がある13区間が対象です。
規制対象区間の詳細はこちら
これまでの「チェーン規制」ではタイヤチェーンに限らず、すべり止めが施されている冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)などが装着されていれば通行可能でした。しかし今回の法改正で、「チェーン規制」の標識のある場所では、チェーンを装着して走行することが義務付けられました。
従来同様のすべり止めが施されている冬タイヤなどの装着のみで走行できる区間ももちろんあるため、そのような区間には「冬タイヤ規制」など別の呼称による規制標識を設け、チェーンが必須となる区間との明確な規制区別を行うように現在、国土交通省にて調整を行っています。
スタッドレスタイヤだけではダメ?
国土交通省によると、雪によって立ち往生した車両は年間500台以上も発生しています。そのうち6割は大型車の立ち往生だと言われており、スタッドレスタイヤを装着している車両においても縦断勾配5%を超える区間での立ち往生が数多く発生しています。また、スタッドレスタイヤを装着している車両のうち、チェーンを装着していない車両が9割弱を占めているという実態もあります。
「チェーン」規制による新たな規制標識も?
今回の省令改正により、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」という新しい可変式の規制標識が設定されます。この道路標識は、大雪によって立ち往生が懸念される日に設置されるようになっており、LEDを用いた電光表示によって見やすく、速やかに規制表示を行う仕様となっています。チェーン規制があった場合には速やかにサービスエリアやパーキングエリアなど安全が確保できる場所でチェーンを装着し、安全運転に努めましょう。
違反時の懲罰について
チェーン装着規制表示のされている規制区間でチェーン未装着のまま通行すると、道路法に基づいて6か月以下の懲役、あるいは30万円以下の罰金が科せられます。知らなかったでは済まされない非常に重要な変更であるため、自分自身のためにも改めて認識しておきましょう。
最後に
普段はスタッドレスタイヤを装着していれば走行に問題ありません。ただ大雪が予想される日にはいつでも装着できるように車両にはチェーンを常備し、装着方法についても事前に学んでおくと良いでしょう。しかし大前提として、大雪時の無理な運転はなるべく避けるように心がけることがもっとも重要です。これからますます寒さが厳しくなり、地域によっては降雪を気にしながら運転しなければなりません。
みなさんも冬季の運転にはいつも以上に注意して、安心・安全なカーライフをお過ごしください。