昨今の日本ではスマホなどのネット技術の発達により、気軽に貸し借りができるシェアリングサービスが急速に広まっており、ファッション、住まい、家事などあらゆるシェアリングサービスが生まれています。これらのCMなども少しずつ見かけるようになり、すでにこれらのサービスを利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自動車業界でもその波を大いに受けて自動車のシェア(カーシェアリング)が広まっており、大手企業が経営しているコインパーキングではカーシェアリングの車両を多く見かけるようになりました。
それと同様に今急速に広まっているのが、駐車場のシェアです。そこで今回は、駐車場シェアリングサービスについてお話したいと思います。
駐車場シェアリングサービスとは
駐車場シェアリングサービスとは個人や企業が保有する駐車場を、インターネットを利用して貸し出すサービスの事です。貸し出す側は駐車場の情報をサイト上に登録して、貸出日や貸出時間を設定します。利用者はスマートフォンやパソコンで利用日や場所を検索して予約します。料金はクレジットカード払いのため直接金銭の授受をしない所もポイントで、カーシェアリングの駐車場版サービスといえます。
駐車場シェアサービスのメリットとは
ビジネス等で一時的に駐車場を借りる場合、一番に思いつくのはコインパーキングではないでしょうか。そこでコインパーキングと比較したメリットを挙げてみたいと思います。
貸し出す側として最大のメリットは、初期投資が殆どないことが挙げられます。コインパーキングを開設するには、車輪止めや料金支払い機などの設備や機材の設置に数百万円が掛かるとされています。駐車場シェアではその費用を払う必要がなく、すぐに始められます。また、貸し出しできる時間を設定することができるので、自宅の駐車場を使っていない時に気軽に貸し出すこともできます。利用料についてはサービス会社を通して手数料を得ることができるため、手軽な副収入に繋げることができます。
借りる側としては、利用料金が周辺のコインパーキングと比べて、3~5割ほど安く駐車することができます。また借りる日程を予約できる為、直前に駐車場を探す必要がありません。スポーツ観戦やコンサートなどのイベントの開催により多くの人が同じ場所に集まる場合、イベント施設の近くの駐車場に駐車する為朝早く現地に到着しなくてはいけない、到着したが駐車場が埋まっていて駐車する場所がない...と言った不安を取り除くことができます。
現状と今後
上記のようなメリットなどに目を付けて、駐車場シェアリングサービス事業に次々大手企業が参入しております。
2016年9月にサービス最大手のakippa(アキッパ)が、住友商事と提携して参入する事が発表されました。これにより、住友商事グループの企業や取引先が持っている駐車場のakippaを通じたシェアリングや、akippaを通じて駐車場を使ってもらうことができます。また、車両リース国内最大手の住友三井オートサービスの約4万社に対して、駐車場シェアリングについて提案できることというのは大きな強みです。
その他にも、2000万人近い会員がいるJAFでは軒先パーキングと提携して、JAF会員向けに駐車場シェアサイトの展開を行っております。
また、それぞれ駐車場シェアリング会社がスポーツチームやイベント施設と提携を結び、施設周辺で利用できる駐車場を増加させることで、駐車場を確保できないイベント会場の集客力UPに一役買っております。
今後も、カーシェアやコインパーキングなどを運営するパーク24や楽天など大企業が次々と参入を目指しております。
終わりに
現在急成長の駐車場シェアですが、課題もあります。人手や設備を簡略化したために不正駐車の発生が危惧されています。不正駐車に対する対策としては、予約用専用アプリに報告ボタンを設置し報告者にお礼としてポイントを進呈するサービスを行う運営会社もあります。さらにドコモが不正駐車防止や駐車管理ができるフラップ板の開発を進めているなど、新しい展開が予想されます。
加えてインターネットを介するがための問題点も浮き彫りになっています。軒先パーキングでは2016年7月に顧客のクレジットカード情報が流出し、サービスがストップした状態が続いていました。現在はセキュリティ対策を講じてサービスを再開していますが、携帯料金とまとめて支払えるキャリア決済の導入等、安心して利用できるための土台作りは重要と言えるのではないでしょうか。
いろいろな課題はありますが、法人様のリース車両を使用される方々には営業先周辺の駐車場を探す手間、コストメリットが大いに期待できるサービスです。今後の発展を期待したいと思います。