所有・使用する自動車保険契約台数が10台以上の契約は「フリート契約」となることは、車両管理に携わる方ならご存知の事かと思います。このコラムをご覧の方の中にも「今年は優良割引率が上がった・下がった」とやきもきする管理担当の方もいるのではないでしょうか。割引率を上げるには、まずは優良割引率決定の仕組みを理解し、改善活動を行うことが重要です。
そこで今回は、フリート契約での保険優良割引率決定プロセスと改善のポイントについてお話したいと思います。
優良割引率の決定の仕方
優良割引率を決定するためには、3つの要素があります。
1:総契約台数
成績計算期間末のお車の総契約台数によって、割引率が大きくなります。
2:損害率
成績計算期間における契約中の自動車全体を対象に、契約保険料(既経過修正保険料)と保険会社が支払った保険金との割合によって算出されます。低いほど割引が進行します。
3:当年度の優良割引率
当年度の割引率が次年度契約の割引率の基礎になります。ただし、ノンフリート契約からフリート契約に切り替わる最初の料率審査日の場合は、平均無事故率が適用されます。
フリート契約における優良割引率はノンフリート契約とは異なり、車1台ごとではなくお客様ごとの保険成績により決定されます。契約者ごとに「料率審査日」が設定され、料率審査日ごとに毎年見直しが行われます。
保険期間と成績計算期間にはズレがあるため、決定された優良割引率はすぐに適用されません。決定された優良割引率は次年度の料率審査日から適用されます。
優良割引率を上げるためのポイント
先ほど挙げた3つの要素の中で優良割引率を上げるために、企業として唯一努力できるのは損害率だと言えます。図のとおり損害率は「成績計算期間」に発生した事故に支払われた保険金の総額と契約保険料(既経過修正保険料)の比率ですから、これを改善することが保険料削減には効果的です。
分かりやすく割引適用前の保険料を100万円として、割引率が50%から70%に上がった場合で考えてみましょう。上の図の通り、割引率が20%上がると支払う保険料には大きな差が出ることが分かります。
損害率を減らすためには
では、この損害率を減らすためにはどうしたらいいのでしょうか。損害率は支払われる保険金が多くなるほど高くなるため、一番の対策は事故を減らすことです。保険料を安定化する一番の薬は事故削減といっても過言ではありません。具体的な対策としては、安全運転講習やインターネットを使った交通安全教育の実施や、アルコールチェッカー等の管理ツールを使用した運転者管理などが挙げられます。従業員の方へ安全運転を徹底し事故が減ることで保険料削減、さらに企業イメージの向上も期待できます。
交通事故の削減は、保険料削減に有効的であることがお分かりいただけましたでしょうか。講習実施や管理ツールの導入がすぐに難しい場合は、毎朝の朝礼等で交通安全についての呼びかけを行う等の小さな活動から始めてみるのもよいのではないでしょうか。また、弊社でも事故削減活動を支援するサービス(有料)を提供しております。ご興味を持たれましたらぜひお問い合せくださいませ。