車両管理台帳ってナニ? どう管理すればよいのだろう

『大手製造メーカーA、従業員が社有車を運転中、児童を巻き込み大事故を引き起こしました。警察の調べでは過労運転と整備不良が重なり・・・企業の管理責任が問われています。』

 ニュースでこんな報道がされたら、うちの会社は大丈夫だろうかと心配になるのではないでしょうか。企業における管理責任は、もちろん社用車を運転する運転者や車両自体についても及びます。あなたの会社の車両管理は万全と言えるでしょうか。

 今回は、車両管理を行ううえで必要となる「車両管理台帳」についてお話したいと思います。

車両管理台帳とは

 車両管理台帳とは業務時間内、通勤途上を問わず、社用車を利用し、従業員が交通事故を起こしてしまったら、本人や相手方はもちろん、会社も多大な損害を受けてしまいます。  そこで会社はこれらのリスクを回避する為にも、車両情報、車両の使用状況、保険の加入状況等について適切な管理を行う必要があります。  
 車両管理台帳とはそれらの情報を見える化し、リスクに備えるためのツールと言えるでしょう。

管理しなければいけない項目とは

1 車両を特定する項目

車両を特定する項目
  1. 車両本体にかかわる項目(車両を特定する項目)
    登録番号、車名、初度年度、車検日、メーカー、車格、型式、車台番号
  2. 購入にかかわる項目・廃車にかかわる項目
    仕入区分、仕入先、購入・契約年月日、廃車・解約年月日、購入・リース金額

2 車両の状況を把握する項目

車両の状況を把握する項目
  1. 車検・整備状況にかかわる項目
    車検有効期限、定期点検記録、整備工場名、整備状況
  2. 修理・事故にかかわる項目
  3. 使用・管理にかかわる項目
    使用部署、運転者、変更履歴

3 車両の保険に関する項目

車両の保険に関する項目
  1. 自賠責保険(保険年月日、保険会社、証券番号、保険金額)
  2. 任意保険(保険会社、証券番号、保険期間、保険代理店、保険内容)


 この他にも、企業の使用実態に応じた必要項目を記録し、車検や定期点検の時期、自動車保険の内容・保険満了日などがひと目でわかるようにしておくと、いざという時すぐに役立ちます。また、複数の部署で車両を管理する場合は管理項目が重複したりあるいは漏れが生じたりしないようにすることが重要です。

 車両管理台帳に特別決まった様式はなく、企業ごとで作成します。最近ではインターネット上にて車両管理台帳のテンプレートを配布しているサイトもあります。どのように作ればいいのか分からない方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

管理できていないことによるリスク

 自社の従業員が社有車運転中に交通事故等を起こした場合、その従業員本人に対しては、民法第709条の不正行為の規定によって損害賠償責任が発生します。
  そして、企業についても民法第715条の使用者責任が問われ、さらに運行共有者として損害賠償責任を負う場合があります。
  記の通り、車両管理は企業のリスクマネジメントの観点から重要性が高く、車両管理を円滑に行うためには、管理台帳が必要とされているのです。

― 参考 ―

民法709条{不法行為}

  自分の行為が他人に及ぼすことを知っておりながらあえて(故意)違法の行為をして、他人の権利や利益をおかし損害を与えた者は、その損害を賠償しなくてはならない。不注意(過失)による場合も同様です。

民法715条{使用者責任}
  1.  ある事業のために他人を使用する者は,被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし,使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき,又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは,この限りでない。
  2.  使用者に代わって事業を監督する者も,前項の責任を負う。

最適な車両管理を実現するには

 車両管理は、対象となる車両が移動するものであるため所在の把握がしにくく、管理者の目が届かないところで使用されるため、管理が複雑となり、大変手間がかかります。
 これらを限られた工数の中、人の手で管理するには限度があります。そのような課題を解決する方法として、最近注目されているのが、「車両管理業務のアウトソーシングサービス」であり、最適な車両管理体制を構築する手段として注目されてきております。

 車両管理業務のアウトソーサーを選ぶポイントとしては、下記のようなポイントが上げられます。

中立性を保つことができる(既に契約があるリース会社等との契約時は、中立性の観点から注意が必要)
車両管理ノウハウを持っている(車両管理に関する知見が有り、車両管理システム等の機能も充実しているか?)


 自社の車両に関するリスクを顕在化し対処していく手段として、是非この機会にご検討されてみては如何でしょうか。